キャンバス生地の特徴・お手入れ方法をTES保有者に聞きました!

キャンバス生地の特徴・お手入れ方法をTES保有者に聞きました!

キャンバス生地

「キャンバスってどんな生地のことだろう?」
エコバッグやスニーカーなど、キャンバス地の製品を使うことって多いですが、キャンバスがどんな生地かご存じない方は多いでしょう。

私は仕事柄(ノベルティストアのスタッフ)、キャンバス製のノベルティグッズをよく目にしますし、お客様におすすめする機会もよくあります。
とはいえ、私自身もキャンバス生地についての理解がまだまだ不十分・・・。
先日もお客様に質問されて、すぐに回答できないことがありました。

そこで、友人のTES(繊維製品品質管理士)資格保有者に「キャンバスってどんな生地?」と質問し、記事をまとめることに。
読んでいただくと、以下の点が分かります!

アナタがキャンバス生地について理解して、キャンバス製品を永くキレイに使うために、この記事がお役に立つことを願っております。

【TESって何?】
TES(繊維製品品質管理士)とは、繊維製品の品質や性能の向上を図り、消費者から苦情が出ないよう管理するスペシャリストのこと。
ファッションビジネスの必携資格とされています。
詳しく知りたい方は、TES繊維製品品質管理士|TESとはをご覧ください。

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キャンバス生地とは?帆布やダック生地との違いは?

それではまず、キャンバス生地の概要をつかんでおきましょう。
キャンバスとはどんな生地で、帆布とどう違うのかご説明します。
また、キャンバスとよく似たダック生地との違いもご確認ください。

キャンバスは平織りされた厚手の生地

キャンバスとは、綿やジュート(麻)などを平織り(糸を縦と横の交互に重ねる織り方)して作る厚手生地の総称です。

古代エジプトが発祥とされ、ミイラを巻く布にキャンバス生地が使われていたそう。
日本には江戸時代後期に伝わり、船の帆布(はんぷ)として使われていました。
伸縮性が低い反面とても丈夫な生地なので、強い風を受ける船の帆にピッタリだったのでしょう。

ちなみに「キャンバス」という名前の由来は、ギリシャ語の「Canvas(麻から作られたもの)」です。
ギリシャでは14世紀頃から、油絵用の画布や盾の補強材といった用途で使われていました。

キャンバス生地の主要生産地は中国

キャンバス生地の主要生産地は、綿(キャンバス生地の素材)の産出量が多い中国です。
大規模な工場も多いため、世界中にキャンバス生地を輸出しています。

日本では岡山県倉敷市の児島地区が主な生産地。
倉敷市周辺を産地とする「倉敷帆布」は、国産キャンバス生地の約7割を占めるそうです。
とはいえキャンバス生地の自給率は低いため、日本国内では海外製のキャンバス生地が広く流通しています。

なお、海外の生産地として近年は中国以外も台頭しており、ベトナムやカンボジアなど東南アジア諸国、インドやパキスタンなど南アジア諸国からの輸出が増加。
中国における人件費の高騰を背景に、主要生産地が少しずつ移行しています。

アメリカは綿花(コットンフラワー)の生産量が多いものの、原材料としての輸出がメインで、キャンバス生地の生産量は多くありません。

帆布との違いは英語か日本語か

キャンバス生地のことを「帆布」と呼ぶこともありますが、英語か日本語かの違いです。
英語では「キャンバス」、日本語では「帆布」と呼ぶんですね。
先ほどご紹介したように、日本では江戸時代後期からキャンバス生地を船の帆に使っていたため、「帆布」という名前が定着したようです。

ただし、バッグ業界や雑貨業界では以下の定義が一般的です。

・キャンバスは海外製のキャンバス生地
・帆布は日本製のキャンバス生地
・キャンバスも帆布も綿100%で作られた生地

このように、業界によってはキャンバスと帆布のニュアンスが微妙に違う場合もあります。

キャンバス(帆布)とダック生地は同じもの

キャンバス(帆布)と似た生地に、ダック生地があります。
キャンバスとダック生地は厚みの基準が微妙に違いますが、同じものと考えて良いでしょう。

ちなみに「ダック」という名前は、オランダでリネン製キャンバスを意味する「Doek(ズック)」に由来します。
ダック生地は「Cotton Duck」や「Duck Cloth」と呼ばれ、アメリカでの使用が広がって一般化しました。

まとめると、キャンバス・帆布・ダック生地の違いは以下のようなところでしょうか。

・キャンバスは平織り厚手生地の世界的な共通名称
・帆布は日本でのキャンバス生地の呼び名
・ダック生地はアメリカでのキャンバス生地の呼び名

それぞれ違う国で発展したため厚みの基準や呼び名は違いますが、基本的には全て平織りの厚手生地だということです。

キャンバス生地の特徴とキャンバス製品のメリット

続いては、キャンバス生地の特徴とメリットを見ていきましょう。

キャンバス生地は綿(コットン)以外にジュート(麻)やポリエステルからも作られるため、素材によって違う特徴を持ちます。
一方で完成したキャンバス製品には、共通する5つのメリットがあります。

素材によって違う特徴

素材 特徴
綿(コットン)
綿花
・洗いやすい
・価格が安い
・バッグやエプロンによく使われる
ジュート(麻)
麻布
・繊維が粗い
・通気性が良い
・バッグや画布によく使われる
ポリエステル
ポリエステル生地
・軽い
・防水性と耐熱性が高い
・バッグによく使われる

「キャンバス」は生地の総称なので、生地を作る素材によって特徴に違いがあるというわけです。

キャンバス製品のメリットは5つ

キャンバス生地で作られた製品には、以下5つのメリットがあります。

■厚手で丈夫

繰り返しになりますが、キャンバス生地は平織りで作られた生地のこと。
縦と横の交互に糸を織っていくため、分厚く丈夫な点が最大のメリットです。

■通気性が良い

厚手で丈夫な反面、通気性が良いところもキャンバス生地のメリット。
スニーカーにキャンバス生地が使われるのも納得です。

■水に強い

キャンバスは平織りの高密度な生地なので、水に強い(通しにくい)という特徴を持ちます。
濡れた後のシミに注意は必要ですが、雨を気にせず使えます。

■後加工できる

キャンバス生地を製品化する際、以下のような後加工ができるのも大きなメリットです。

・糊付け加工
型崩れを防ぐための加工です。

・パラフィン加工
水を通しにくくする加工です。

・ラミネート加工
生地表面のツヤを消して防水性を高める加工です。製品のお手入れが簡単になります。

■経年変化を楽しめる

キャンバス製品を使いこむと生地の風合いが変化します。
つまり、柔らかさが増して色がなじむなど、経年変化を楽しめます。

キャンバス生地の用途は幅広い

キャンバス生地は丈夫で通気性が良く、耐水性も高いため幅広い用途で使われます。
以下に主な用途を挙げてみました。

用途 アイテム
ファッション用品 バッグ、ジャケット、ワンピース、スニーカー、ウォレットなど
日用品 エプロン、ガウン、ランチョンマット、コースター、小物入れなど
文房具 ペンケース、ブックカバーなど
その他 船の帆、テント、ハンモック、サンドバッグ、野球のベース、画布など

ファッション用品としてはもちろん、日用品や文房具にも使われていますし、テントの生地としても使われます。
身の回りのモノについて調べてみると、「これもキャンバス製だったんだ!」なんてことがありそうですね。

ちなみに、ノベルティストアではキャンバス製のトートバッグが人気です。
いろいろなタイプのトートバッグを取り扱っておりますので、ご興味をお持ちの方はぜひチェックしてみてください。

キャンバス生地の厚みを表す単位について

キャンバス生地は厚みによって質感や価格が大きく変わります。
そのため、厚みを示す数値はとても重要。

一般的にキャンバス生地の厚みは、海外製が「オンス」、日本製が「号」という単位で表されます。
厚みに関する基準が海外と日本で違うため、キャンバス(海外製)と帆布(日本製)の取り扱いが別になっているわけです。

いずれにせよ、「オンス」や「号」はキャンバス生地を選ぶ際の大切な基準になるため、ぜひ覚えておきましょう。

オンス(oz)は数字が大きいほど厚い

オンスとは、1平方ヤードごとの重量のこと。
10.4oz、13.0ozのように表記され、数値が大きいほど1平方ヤード辺りの生地密度は濃く重量があります。
つまり、数値が大きいほど厚手の生地だということです。

号は数字が小さいほど厚い

号の場合は数字が小さいほど経糸(たていと)と緯糸(よこいと)の本数が増えて、厚手(重い)生地になります。

号の基準(JIS L3102)は下記表の通り規定されていましたが、1997年にこの基準が廃止されました。
とはいえ、現在も日本製の帆布はJIS L3102に基づいて生産されています。

号数 原糸撚り 密度(本/inch) 重さg/㎥
経糸(たていと) 緯糸(よこいと) 経糸(たていと) 緯糸(よこいと)
1 7 8 28-32 18-22 1014
2 7 8 28-32 16-20 941
3 6 6 28-32 19-23 867
4 6 5 29-33 18-22 794
5 4 5 32-36 23-27 720
6 4 4 32-36 23-27 647
7 3 4 34-38 24-28 573
8 3 3 34-38 24-28 500
9 2 3 44-48 33-37 510
10 2 2 45-49 34-38 428
11 2 1 43-47 39-43 343
【表の見方】

■原糸撚り
経糸と緯糸が何本の糸からできているかを示す数値。1号の場合は7本の糸を紡いで経糸1本ができており、8本の糸を紡いで緯糸1本ができています。号数が小さいほど太い糸で織られているため、密度が濃く厚くて重い生地になります。

■密度(本/inch)
1inchに経糸と緯糸が何本使われているかを示す数値。1号の場合は1inchの面積に経糸が28~32本、緯糸が18~22本使われています。

表を見ると、「1号より11号の方が経糸と緯糸の数は多いのに、どうして1号の方が重いの?」という疑問がわきませんか?

その理由は、使う糸の太さが違うから。
原糸撚りの項目で説明したように、1号の経糸は7本の糸からできているのに対し、11号の経糸は2本の糸からできています。
1号の方が太い糸を使っているため、本数が少なくても密度が濃く、重量のある厚手生地になるのです。

ちなみに、号とオンスの関係が下記の表です。
号は数値が小さくなるほど面積辺りの重量が上がるのに対し、オンスの場合は数値が大きくなるほど重量が上がっています。

単位号数 重さg/平方メートル 重さg/平方ヤード 重さオンス/平方メートル 単位オンス(oz)
1 1014 872 30.8 30.8
2 941 809 28.6 28.6
3 867 746 26.3 26.3
4 794 683 24.1 24.1
5 720 619 21.9 21.9
6 647 556 19.7 19.7
7 573 493 17.4 17.4
8 500 430 15.2 15.2
9 510 439 15.5 15.5
10 428 368 13.0 13.0
11 343 295 10.4 10.4

キャンバス生地の製造方法

一般的なキャンバス生地の製造方法は4種類あり、色や柄を出す方法は2種類あります。
どのように生地が織られ、どのように色や柄を出しているのか、順に見ていきましょう。

ウォータージェット繊機とエアジェット繊機が主流の製法

キャンバス生地の製造方法は、ウォータージェット繊機、エアジェット繊機、シャトル繊機、レピア繊機の4種類。
現在の主流はウォータージェット繊機とエアジェット繊機で、それぞれ以下のような違いがあります。

■ウォータージェット繊機

音速を越える高圧の水をノズルから噴射し、水の力で糸を織る機械。
水を使って糸を織るため、素材にポリエステルを使っても静電気が起きない点がメリットです。



■エアジェット繊機

空気の噴射によって緯糸(よこいと)を飛ばし、生地を作る機械。
生地の織り込みスピードが速いという利点を持ちます。



■シャトル繊機

緯糸(よこいと)を取り付けたシャトル(糸を通す槍)が左右に往復して糸を織り込んでいく機械。
手織りの作業を機械化したような製法で、「セルビッチ(耳)」と呼ばれるほつれ止めの折り返し部分ができることが特徴です。
織り幅と色糸の使用数に制限があるうえに製織時間も長いため、現在は一般的な製法とは言えません。



■レピア繊機

左のレピア(糸を通す槍)が中央まで運んだ緯糸(よこいと)を右のレピアが受け取り、右端に持って行く作業を繰り返して生地を織る機械。
シャトル織機より使える色糸が多く、高速で生地を織ることができます。

先染・後染めで色や柄をつける

キャンバス生地に色や柄をつける方法は、先染めと後染めの2つあります。

■先染め

生地を織る前の糸に色をつける方法です。
深みのある色合いが生まれ、色落ちしにくくなります。
ただし、先に糸の色を決めてしまうため、流行のカラーに合わせて変更するなどの融通が利きません。
※先染めの方が後染めより高級という認識が一般的です。

■後染め

生地を織った後に色や柄をつける方法です。
色や柄を変更しやすいというメリットを持つ反面、色合いに深みが出にくく色落ちしやすい点がデメリット。
さまざまな色を組み合わせて染めた場合は、色が混ざったり色移りする可能性もあります。

キャンバス生地のお手入れ方法

それでは最後に、キャンバス生地のお手入れ方法を解説します。
キャンバス製品は丈夫で永く愛用できますが、お手入れの仕方で寿命に大きなが差が出ることも。

キレイに永く使うため、キャンバス生地の洗い方と干し方、汚れ・シミの防止法をご確認ください。

中性洗剤で洗って日陰干し

キャンバス製品を洗うときは、中性洗剤を使いましょう。
ガンコな汚れがついたときも、柔らかい布に薄めた中性洗剤をつけてこすり洗いすればOK。
バッグのように型崩れが気になるモノを洗う場合も、手洗いをおすすめします。
※洗浄力の強い洗剤は色落ちの原因になるためNGです。

洗った後は、すぐに日陰で乾かしてください。
水に濡れたまま放置すると色移り(キャンバス生地の色が他のモノに移る)の可能性があります。
TES資格を持つ友人いわく、「企業は検査をしてから生地を販売しているので、色移りは基本的にない」とのことですが、綿や麻など天然素材の場合は注意が必要だそうです。

洗った後だけでなく雨に濡れたときも放置せず、すぐに乾かすことをおすすめします。

防水スプレーで汚れやシミを予防

キャンバス生地は水に強い特徴を持ちますが、濡れたまま放置するとシミになることがあります。
水濡れによるシミを防ぐには、防水スプレーが有効。
スプレーによって生地表面がコーティングされるため、汚れもつきにくくなります。

また、コマメに汚れを落とすことも大切なポイント。
ブラシでホコリをはらったり、軽い汚れを落としたり(消しゴムでこすれば落ちる)、日ごろからお手入れを心がけましょう。

まとめ

当記事ではキャンバス生地の特徴を解説しました。
覚えておいていただきたいポイントは以下の通りです。

・キャンバス生地は平織り厚手生地の総称
・キャンバス(世界共通)、帆布(日本)、ダック(アメリカ)は呼び名が違うだけで同じ生地
・キャンバス生地は綿や麻、ポリエステルなどの素材から作られる
・キャンバス生地には、厚手で丈夫・通気性が良い・水に強い・後加工OK・経年変化を楽しめる、という5つのメリットあり
・キャンバス生地の厚み(重量)を示す単位はオンス(oz)
・帆布の厚み(重量)を示す単位は号
・キャンバス製品のお手入れは中性洗剤で洗って日陰干し
・防水スプレーをふっておくと汚れやシミを防止できる

キャンバス生地について正しい知識を持ち、バッグやスニーカーなどを永くキレイに使いましょう!

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